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help RSS 世の中どうなってんの…?大前さん!! 大前研一 『ニュースの視点』

<<   作成日時 : 2009/08/29 23:11   >>

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2009/8/28(金)
  今週の〜大前研一ニュースの視点〜
  『本質から読み解く日本の政治風土〜衆院選直前特別企画第4弾!』

選挙戦
┗┛自民党マニフェスト
―――――――――――――――――――――――――――
●自民党も民主党も、同じ穴の狢(むじな)

 前回、民主党のマニフェストを見ても、そこには「哲学・考え方」が欠けており、国会議員として基本的に勉強不足だという点を指摘しました。

 大々的に発表したマニフェストも、いずれ忘れ去られるに違いありません。

 では、これに対して自民党のマニフェストはどうなのか?

 と言うと、残念なことに「どんぐりの背比べ」状態だと言えます。

 4年前の総選挙時に自民党が示したマニフェストにしても、私に言わせればまともに実施されたものは殆どありません。

 小泉元首相が提言しながらも、4年間のうちに首相が次々と変わってしまい、責任所在も不明確な印象を受けます。

 今回の総選挙に当たっては、自民党は民主党を揶揄して、 「責任ある政党としては、経済のパイを大きくする必

要があるが、民主党にはそれができるのか」という趣旨のことを述べていましたが、聞いていると呆れてしまいました。

 一体、自民党はこの4年間にどれだけ日本経済のパイを大きくしたのでしょうか?

日本のGDPを押し上げることができたのでしょうか?
 私は2003 年9月に、自民党の国家戦略本部事務局から頼まれて自民党用のマニフェストを執筆したことがあります。

 2001年4月に小泉内閣が成立し、初めて2003年11月の総選挙の洗礼を受けることになっていた時期です。

原稿用紙40ページ(約1万6千語)に及ぶ草案の中で、私は「日本をどういう国にしたいのか」という全体像を提示しました。

「2005年までにこのように日本を作り変えるべき」という骨子 と共に、生活者主権の日本再生プランとして、

 “税金によらない11項目の具体的な「経済再生プラン」”まで詳細に示しました。

 しかし、国家戦略本部の事務総長だった保岡氏によると、「長すぎる」という理由で本草案を小泉元首相は読まなかったと聞きました。

 そこで「原稿用紙2ページにしてくれ」と言われて、再び知恵を絞って2ページにしたものを事務局に持っていきました。

 すると、こんどはその2ページを机の上に置いて、小泉元首相は「オレは勘が鋭い。あまり勉強するとその勘が鈍くなる」と言って、結局読まなかったそうです。

 こうした事例は小泉元首相に限りません。民間企業の経営者なら、お金を払ってコンサルタントを雇えば、一生懸命内容を理解し実践しようとします。

 それに比べれば、政治家は総じて不勉強・不真面目だと言わざるを得ないと思います。

 多くの政治家は私が政策の説明をしても、その本質を理解しようとするのではなく、何とか記者会見を乗り切るために「要するに キーワードは何なのか?」ということだけを聞き出そうとします。

 しかし蓋を開けてみれば、記者会見で記者から質問を受けると、まともに受け答えが出来ないという有様です。

 挙句には、選挙で勝つための「キーワード」なるものを大手広告代理店に依頼して見つけてもらおうとします。

 そして、具体的な政策もないままに、「安心」「安全」「責任政党」などのキャッチコピー的なキーワードだけが飛び交うことになります。

 このようなことは、この数十年の間に幾度となく見てきました。

●中央集権と政治家の不勉強

 結局今回も各党のマニフェストを見ても、まともなものは1つもありませんでしたが、不勉強な日本の政治家の現状に鑑みれば、当然の結果だと思います。

 本来、マニフェストは「この国の問題点はこれだ」、「この国をこういう国にしたい」という全体像を提示するものです。

 冒頭でも紹介しましたが、私自身が2003年に自民党から依頼されて執筆したマニフェストを、今回、一般に公開しました。

 若干古いものですが、皮肉なことにその後何も実現していないので陳腐化はしていません。

「私が政党の党首ならこのような形で訴える」という雛形としてぜひ一度ご覧頂きたいと思います。

 ここではその骨子として、日本が抱えた大きな問題点について紹介しておきます。

    *        *        *

 日本という国が抱える最大の問題は、中央集権が行き過ぎていることです。

 官僚が政策を立案し、それに予算を付けて実行していくという官僚主導・中央集権の日本型システムそのものが時代に合わなくなってきています。

 このやり方は戦後の復興には効果的でしたが、その後経済がより複雑になり、世界との相互依存交易が盛んに

なり、さらには情報や資金が国境を瞬時にまたぐグローバル経済の時代になるにつれ、その機能と効果は陳腐化

してしまいました。

 さらに、80年代以降は官僚組織そのものが自己目的化し、国全体のことを考えるよりも細分化した官僚組織それぞれが局所最適化を始めてしまいました。

 いまや官僚機構は、そのことに自分で気がついて直す「自力更生能力」を完全に喪失しています。

 そのような官僚機構と中央集権を前提にする限り、日本は仮に正しい答えがわかっても前進できません。

それほどこの問題は、日本の再生にとって致命的な障害になっています。

 政治家や官僚といった政治や行政を預かる人の視野が狭く、時代遅れのセンスしか持ち合わせていないということも問題です。

 今、世界はものすごいスピードで変化を遂げています。

「この国をどうするべきか」を考える立場にある人は、当たり前のことですが、世界のことを見て、知り、そして世界標準の感覚を持っていなければ務まらない時代です。

ところが日本の政治家を見ると、世界のことを知らず、ステレオタイプの考え方に固執している人が殆どですし、私に言わせれば「外の世界のことを知ろう」という意欲もないと思います。

 私も何度か同行したことがありますが、海外視察に行くのは、わずか年1回・3日〜4日という時間に過ぎないのですから、今世界で何が起こっているのかを把握することは不可能でしょう。

 小選挙区制が導入され、今では人口25万人くらいの地域から1人の国会議員が選出されることもあります。
人口だけを見れば、横浜「区長」レベルです。

 こうした状況も、日本の政治家が世界レベルの思考を持ち合わせていないという事態を助長していると感じます。

 不勉強で世界を知らないという点では、官僚も同様です。

 例えば、外務省にしたところで、私から見れば30〜40年前の頭脳しか持ち合わせていません。

 北方領土問題をはじめとする外交問題について、外務省に新しい外交戦略を期待できるだろうか?
と問われたら、答えは「NO」でしょう。

 日本の政治家は、ブレーンを作って、もう少し自ら勉強する機会を作るべきです。

 今の状況を見ていると、いくつもの勉強会は開催されていますが、圧倒的に勉強時間が足りていません。
遅刻してきたり、途中退席してみたり、といった実態から推測すると、まともに勉強している時間は1日数分くらいだと私は見ています。

 中身のないマニフェストと広告宣伝のような選挙キーワードを並べて選挙戦に臨み、結局選挙が終われば、マニフェストなど忘れてしまう。

そんな悪循環はいい加減に断ち切ってもらいたいと強く感じています。

                                 以上
                        
この大前研一のメッセージは、8月9日にBBT757chで 放映された大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに再構成しております。

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