不景気には時を待つ

 松下幸之助氏の書かれた「経営心得帖」より

 先年、経済界が不況の状態にあった時、ある懇意にしている中小企業の社長さんから、こういうお話を聞きました。 

「松下さん、私のところは四百人ほど人を使って事業をしているのだが、実は最近不景気で仕事が少なくなってきて心配しているんです」 それで私はこのように申しあげたのです。

「ご心配はよくわかりますが、あなたはこの際決してうろたえたらいけませんよ。
多少ヒマになることも、長い間にはあるのが当然です。
ところが、その時に失敗している人をみると、たいていあわてて他に仕事を求めにいっていますね。

こういう時期には、ほんとうは仕事というものはないのが原則です。
しかし、ある場合もあります。
ただ、その場合は必ず値切られるものです。それも、必要以上に値切られ、叩かれるということになります。

それでも、人を遊ばせるよりもいいんじゃないかということになりがちですが、しかしそのようにやったところは多く失敗しています」

 そういうことをお話したわけですが、私はこのようなことがいえるのではないかと思うのです。

行詰る会社をみてみますと、たいていは仕事がヒマになったらうろたえて、ムリをしてでも注文を取ろうとします。

ムリをして取ればそれだけ安くなります。その結果かえって大きな損をして会社の破綻を招く結果になってしまいます。

 反対に、そういうムリをせずに、「ヒマはヒマで仕方がない。これは一時的な現象なのだから、この機会に改めるべきは改めて、日ごろ怠りがちだったお得意に対するサービスをしておこうとか、機械の手入れすべきものはしておこう」というような態度をとっている会社は、少しも衰えずに、かえって時を得て発展するという姿になっているのです。

 ヒマになって、人を遊ばせておくのはもったいないという考えはそれなりに一理あるようですが、人件費の損失もさることながら、うろたえて、いらざることに手をひろげた場合には、往々にして取返しのつかない損失を蒙る結果になってしまうわけです。

なかなかむずかしいことですが、時を得なければ休養して時を待つ、そういう心境も大事だと思うのです。

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この記事へのコメント

しんちゃん
2008年08月13日 20:52
「あわてて」「ムリをして」‥およそ平静でないときの心境や行動を示す言葉だと思います。
強いプレッシャーを意図的にかけた方が実力を発揮する稀有な人を除けば、個人の能力は平静な心境の時にこそ最大限に発揮されれやすいのだと思います。
好機を逃さずそれを活かすのも、大切な能力のひとつでしょう。まずは焦らず。

「時を得なければ休養して時を待つ」‥なるほどです!

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