2020年からの警鐘 日本が消える(その2) 日本経済新聞社[編] 

1997年6月 初版 日本経済新聞社

 まえがき (全文)

 ひとつの調査がある。
くもん子ども研究所が小学校四年生から高校三年生までの児童・生徒とその両親に「今の世の中でもデッカイ夢を持てるかどうか」と聞いたところ、「持てる」という回答は親が67・1%に達したのに、子どもは55・3%と半分強にとどまった。

小学校四年生から高校三年生といえば、年齢はだいたい十歳から十八歳。
21世紀前半の日本を背負う世代だが、彼らは自分たちの親ほど将来を楽観していない。

 子どもたちが大きな夢を持ちにくい社会になりつつあるのは否定できない。
景気は緩やかに回復しているとはいえ、明るさはいまひとつ。

海外との経済競争も激しくなるばかりだ。親の収入はあまり伸びないし、リストラの対象にされるかもしれない。
21世紀には、高齢化で税金の負担も重くなる。
生まれる子どもの数が少なくなって人口が減っていく。


地球規模では、人口が爆発的に増えて環境が悪化したり、食糧危機やエネルギー危機がやってくる心配もある。

 私たちの取材はこういう問題意識から始まった。
次の世代に夢のある社会を引き継いでもらうために、今何をしなければならないのか-それを探るために、まず2020年の日本や世界の姿を描き、そこからさかのぼって今の経済や社会のありようを考えるという手法を原則にした。

2020年という年を掲げたのはまず、その前後に人口の四分の一が65歳以上の高齢者で占められるようになり、日本が世界で最も老いの進んだ国になるとみられるからだ。

これに少子化も加わって、そのころの日本は経済がマイナス成長に落ち込むかどうかの瀬戸際に立たされる。

地球規模の問題も深刻さを増しているだろう。

2020年が21世紀の日本を考えるうえで重要な年なのは間違いない。

取材を始めたのと前後して、日本でも21世紀をにらんだ改革が始まった。

橋本龍太郎首相は行政、金融システム、経済構造、社会保障、財政構造、教育の「六大改革」を打ち出した。

だが、グローパル化が進むなかで、世界が「工業社会」から「知識社会」へと産業革命以来のし烈な改革競争を繰り広げているのに、この国の人々の危機意識はまだ薄く、改革のテンポも遅いように思われた。

日本の戦後システムは工業化で欧米に追いつくのに大きな力となったが、その成功体験があるために、政府も企業も個人もシステムの大幅な見直しをためらう空気が消えていない。

改革は避けられないとわかっていても、米国など先を進む国をみると、貧富の差の拡大などマイナスの面も目に入ってくる。
それだけに、何を支えに改革を進めるのか、思想の軸も定まっていないようにみえる。
 21世紀をにらみ、日々姿を変えていく世界と、悩みが深いゆえに世界の速い動きに遅れがちな日本を描き、日本経済新聞紙上で好評連載中の「2020年からの警鐘」シリーズ。

連載を始めて間もなく、加藤紘一自民党幹事長が国会で取りあげるなど、大きな反響を呼んでいる。

本書はそのうち第一部「日本が消える」から第四部「漂流する思想」までを中心に、識者インタビューなど関連記事もあわせてまとめたものである。

読者が日本の将来を考える一助になれば幸いである。

 なお、登場人物の肩書、年齢などは原則として新聞掲載時のものとした。

   一九九七年六月              日本経済新聞社

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