『冬のボーナス、過去最大の減少幅を記録』

 大前研一 『 ニュースの視点 』
    メルマガ  2009/11/6  #286 より全文掲載

(正論かも・・・裾野にある部品関係の中小企業が、1000社2000社と倒産するようなことになると、日本の10年後は、想像以上の経済的状況が現れる懸念があります。
自動車・工作機械・電気製品等の品質は各部品の品質に負うところが大です。
もし日本に部品メーカーが少なくなれば、海外に生産地が移動します。
海外メーカーの部品製造のクオリティーはそんなに高くありません。
そういう部品を使った完成品は品質が落ちることになります。
そしたら、日本製品の海外競争力は落ちることになり外需がダメージを受けます。
その結果は想像のとおりです。)

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・法人所得額 前年度比35.4%減の37兆9,847億円
・新規国債発行額 2010年度予算概算要求も95兆円に拡大
・長期金利 新発10年物国債金利が1.42%に上昇
・冬季ボーナス 平均妥結額が前年比15.91%減
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 ▼ さすがに日本国債に対する市場の不信感が高まってきている
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 28日、国税庁のまとめによると、今年7月末までに申告した2008年度決算法人の所得金額が、前年度比20兆8370億円(35.4%)減の37兆9874億円と6年ぶりの低水準になったことが分かりました。
 減少額・率とも集計可能な1967年度以降で最大となっています。

 唯一の明るい材料はユニクロくらいで、その他は総崩れに近い状況です。
あの世界のトヨタでさえも赤字に転落しているわけですから、法人所得額が厳しい状況になるのは当然だと言えるでしょう。

 このような状況にあって、政府は相変わらず莫大な金額の予算を計上しようとしています。

 一時は50兆円規模の国債発行を予定していた藤井財務相も、周囲の反発があまりにも強かったためやや態度を軟化させたようですが、それでも「前政権が編成した2009年度補正予算後の国債発行額44兆円程度を下回ることが重要」というレベルです。

 日本のGDPは約500兆円ですから、50兆円は約10%に相当します。
 すでに日本の国債残高(2009年6月時点)は対GDP比で190%ですから、これをさらに200%にまで押し上げるということになります。

 現状でさえ、日本の数字は先進国の間で飛び抜けています。
米国を始め殆どの先進国は75%~90%の範囲に入っていて、日本と同じく100%を超えているイタリアであっても120%前後という水準です。

 これはとんでもない話です。これをそのまま報道するマスコミも危機感が欠如していますし、私たち国民も許してはいけない事態だと思います。

 一方、さすがに市場の方は日本国債に対する不信感が高まってきているようです。
長期金利の指標となる新発10年物国債の金利は2009年10月27日、2ヵ月半ぶりに年1.4%台に乗り、28日には
 前日比0.015ポイント高い1.42%まで上昇しています。

 長期金利が上がるということは、「金利が高くなければ、国債を買う魅力がない」という状況です。
つまり、「もしかしたら日本国債は危ないかもしれない」という人が多いから「利回りが上がる」わけです。

 ここに来て、新発10年物国債の金利が上昇しているというのは、まさに日本国債への不信感の表れだと言えるでしょう。

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 ▼ ボーナスは、日本企業特有の「遅配システム」の1つだった
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 28日、日本経団連が発表した大手企業の今冬のボーナス妥結状況によると、組合員1人当たりの妥結額(加重平均)は前年実績比15.91%減の74万7282円で、冬のボーナスでは調査を開始した1959年以降最大の減少幅を記録したとのことです。

 妥結額も90年(73万8430円)以来19年ぶりの低水準。輸出依存度が高く、世界同時不況の影響を受けやすい製造業は、18.53%減の73万7063円で過去最大の減少幅になっています。

 ボーナスというのは、毎月支払うのではなく「半年遅れてまとめて支払う」という、要するに「遅配」の方法です。
私自身は、日立製作所を退職後はずっと「年棒制」でしたから、全くボーナスという概念がありませんでした。
それもその筈で、ボーナスという仕組みは昔の日本企業特有のものだったからです。

 かつての日本企業は資金が慢性的に不足していて、ワーキングキャピタルだけで精一杯という状況でした。
そこで、次の3つのことを実施したのです。

 1)給与を低く設定し、代わりに「退職金」でまとめて支払う
 2)給与を低く設定し、業績連動で「ボーナス」として6ヶ月まとめて支払う
 3)銀行預金の金利よりも高い金利を設定した「社内預金制度」を整備し、給与の約10%を預金してもらう

 銀行に頼ることなく、従業員に負ってもらうことで企業のワーキングキャピタルを確保するために作られているのが、現状の制度なのです。

 ボーナスは業績連動という条件が一般的でしたが、「右肩上がり」で高くなっていく年月が続き、いつの間にか「毎年高くなるのが当たり前」という感覚になっていたと思います。

 そこに来て今回のような大幅な減額というのは、さすがにショックを受けている人は多いでしょう。

 09年末賞与の業種別平均妥結額を前年と比べてみても、今年の「減少幅の大きさ」は著しいと言えるでしょう。

 大不況の幕開けとなった昨年末でも、いくつかの業種でマイナスはありましたが、大半の業種は「ゼロ、もしくは若干のプラス」といった状況でした。

 ところが今年は、自動車業界で22%減・電機業界で19%減という、メジャーな業界において大幅な減額が発表されています。
これは過去に例を見ないほどの減額幅です。

※「09年末賞与の業種別平均妥結額の対前年比」 チャートを見る
  → http://vil.forcast.jp/c/amkcag1AwVkD6fab

 かつて資金不足だった日本企業を支えた「遅配システム」も、企業の業績そのものが落ち込んでしまえば、このような無残な結果を導くことになります。

 これから年末に向けて「冬のボーナス商戦」を迎えますが、非常に厳しい状況になるでしょう。
おそらく米国よりも日本のほうが厳しくなると思います。

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